黒帯はゴールではなくスタート|一人ひとりに合った次の目標へ

「黒帯はゴールではありません。ここからがスタートです」
私は、黒帯を取得した拳士に、いつもこの言葉を伝えています。
前回の記事では、黒帯を目指すまでの道のりと、その中で育つものについてお伝えしました。
黒帯の先に広がる、3つの道

白帯から黒帯までは、
みんなが同じ「黒帯」という目標に向かって進みます。
けれど、その先に待っているのは、一本の決められた道ではありません。
黒帯の先には、大きく分けて3つの道があります。
試合や日々の乱取りを通して、自分の強さを磨く。
誠心会拳法の技を、さらに深く学ぶ。
自分の経験を伝え、人を育てる側へ進む。
どの道を目指すかは、一人ひとり違います。
だから浅井道場では、黒帯を取得したあと、本人・保護者の皆さまと次の目標を共有し、その人に合った道を一緒に考えていきます。
自分の強さを磨く道

一つ目は、
試合や日々の乱取りを通して、自分の強さをさらに磨いていく道です。
覚えた技を、相手に合わせて使うこと。
動きを見ながら、その場で判断すること。
思うような結果が出なかったときに、自分の課題と向き合い、次の稽古へつなげること。
新しい相手や課題に挑みながら、技術だけでなく、判断力や精神的な強さも高めていきます。
試合で優勝したから、強さが完成するわけではありません。
今の自分を超えるために、さらに強い相手や新しい課題へ挑戦していく道が続いています。
誠心会拳法の技を深める道

二つ目は、
二段、三段と上の段位を目指し、誠心会拳法の技をさらに深めていく道です。
段位が上がるにつれて、剛法や柔法はより高度になり、学ぶ型の種類も増えていきます。
ただ技の種類を増やすのではなく、
なぜその動きになるのかを理解し、相手や状況に応じて使えるようになることが求められます。
段位が上がることは、必ずしも試合での強さと直結するものではありません。
これまで身につけてきた基本を土台に、誠心会拳法への理解を深め、より正確に技を使えるようになること。
そして、いざというときに、自分と大切な人を守れる力を高めていくこと。
黒帯は、すべての技を学び終えた証ではなく、誠心会拳法をさらに深く学び始めるための入り口でもあります。
人を育てる道

三つ目は、
自分が学んできたことを後輩へ伝え、人を育てる側へ進む道です。
自分がどこで悩み、どのように乗り越えてきたのか。
感覚でできていたことを、どうすれば相手に伝わるように説明できるのか。
性格も得意なことも違う後輩と、どのように向き合うのか。
誰かに伝えようとすることで、自分自身の技への理解も深まります。
また、自分の考えを言葉にする力や、相手に合わせて関わる力も育っていきます。
誠心会拳法で指導員を目指す場合には、二段の取得が必要です。
二段を取得したうえで、支部長の推薦と会長との面接を経て、指導員になる道もあります。
目指すものが違って当たり前
この3つの道は、どれか一つだけを選ぶものではありません。
試合に挑戦しながら、上の段位を目指す。
技を深めながら、後輩の指導にも関わる。
試合には出ず、自分のペースで学び続ける。
複数の道を進むこともあれば、途中で目標が変わることもあります。
同じ黒帯を締めていても、その人の性格や得意なこと、これから望む生き方によって、必要な次の目標は変わります。
だからこそ、その人に合った道を一緒に考えることが大切だと思っています。
一人ひとりの「次」を、一緒に考えていきます

これまで私は、一人ひとりに対して、
「次は、こんなことを目指してほしい」
「この経験を通じて、こんな力を身につけてほしい」
という思いを持ちながら関わってきました。
しかし、私が考えているだけでは、本人や保護者の皆さまには伝わりません。
これからは、その思いを私の中だけにとどめず、本人や保護者の皆さまとも共有していきたいと考えています。
本人が目指したいこと、
ご家庭が大切にしたいこと、
そして指導者として私が期待していること。
それぞれを確認しながら、その人に合った次の目標を一緒に考えていきます。
すぐに目標が見つからなくても大丈夫です。
稽古を続ける中で、新しい目標や役割が見えてくることもあります。
どの道を進むとしても、私が育てたいものは変わりません。
自分と大切な人を守る力。
強く、優しく、生き抜く力。
黒帯までに育ててきたその力を、これからどう磨き、どう生かしていくのか。
本人、保護者の皆さまと一緒に次の目標を考えながら、その成長を支えていきます。
黒帯を締めた翌日から、一人ひとりの新しい道の始まりです。
誠心会拳法 浅井道場
浅井 真


